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耕作放棄地の伐採・整備推進 ウメ産地を次代につなぐ【8月4週号 和歌山県】

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 【和歌山支局】ウメ産地を次の世代につなごうと、みなべ町の4Hクラブ「みなべ梅郷〈ばいごう〉クラブ」は耕作放棄地を整備するプロジェクトに力を入れている。クラブ員の山本宗一郎〈やまもと・そういちろう〉さん(35)が、「第60回全国青年農業者会議」プロジェクト発表・地域活動部門で、「梅産地を未来につなげる伐採班の活動」を発表したところ、最優秀賞にあたる農林水産大臣賞に輝いた。町内では後継者不足や高齢化が進み、耕作放棄地が増加。隣接する園地で病虫害や獣害が発生する状況にある。プロジェクトが始まったきっかけは、2019年に地元の農家有志が、耕作放棄地の梅木伐採をボランティアで請け負ったことだった。20年には、みなべ梅郷クラブが有償で伐採を請け負う活動を山本さんが企画した。「耕作放棄地の整備には費用を掛けたくないという声も多く聞いた」と山本さん。対策として、アンケートを実施して現状把握に努めるとともに、「結果を踏まえ、可能な限り安価に設定することで利用してもらいやすいようにした」と話す。「産地を守っていくためには、伐採を希望しない人にも耕作放棄地の整備の重要性を地道に訴えていかなければいけない」と山本さん。他団体との交流や相互協力がこれまで以上に重要になると考え、「この活動を通じて、後継者や新規就農者などの次の世代がやりやすい環境にしないといけない」と展望する。(山本さんの経営規模=ウメ400アール、温州ミカン30アール、水稲20アール)

〈写真:一粒一粒丁寧に作業する山本さん。「産地を守りたい」と精力的に活動する〉