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経営支える収入保険 加入を強く勧めたい【8月3週号 山梨県】

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 【山梨支局】「あらゆるリスクが取り巻く今の時代には、収入保険への加入は必須。地域の農家や仲間にも勧めているよ」と話すのは、韮崎市新府地区の山形喜久太さん(46)。「白鳳」「なつっこ」「日川白鳳」「川中島白桃」「浅間白桃」などモモ8品種を2ヘクタールで栽培する。就農前、営農指導員だった山形さんは、地元農家から頼られる存在。新規就農者や専門学校山梨県立農林大学校の学生にも技術指導する。東日本大震災後のモモの市場価格低下や、3年前に流行したせん孔細菌病などのリスクに備える必要があると考え、2021年に果樹共済から収入保険に移行した。21年6月、従業員の1人が新型コロナウイルスに感染した。陽性者が触れたモモを介して感染する懸念から、保健所の指示で出荷が停止に。出荷目前だった日川白鳳1万3千個が廃棄になってしまった。山形さんはNOSAIの担当職員にすぐ連絡し、収入保険で補償されるかを確認。「まさか収入保険で補償されるとは思っていなかったので、加入していて本当に良かった」と振り返る。確定申告の結果、18%の収入減少となり、積立方式から補てん金が支払われた。山形さんは「果樹共済の加入申込は、品種・樹齢ごとに細かく書かないといけないし、損害の評価は類ごとで難しい。収入保険は分かりやすい仕組みで、手続きがシンプルでいいね」と話す。新府地区ではモモの単品目経営の農家が多い。共選場が稼働する夏の44日間に何かあれば、経営へのダメージは大きい。「だからこそ、さまざまなリスクを補償する収入保険を強く勧めたい」と強調する。山形さんの勧めもあり、新府地区では現在56戸中27戸が収入保険に加入している。今後は「異常気象に備えて、品種構成を検討したい。秋から冬にかけて食べ頃を迎え、花粉がある品種がほしい」と山形さん。主産地の出荷が終わった後に収穫期を迎える晩生品種で、より危険分散を図ろうという試みだ。「新府のモモ産地を守るため、末永く経営していけたらいいね」と話す。

〈写真:色づきを確認する山形さん。従業員が新型コロナに感染した当時、「モモを園から持ち出すことが禁止され、私も自宅待機になった」と話す〉