▼ある県の農林水産統計協会から組織解散のお知らせが届いた。季刊で統計情報誌を発行し、地域の話題を取り上げたいとの依頼があり、農業共済新聞地方版掲載の記事を提供していた。数年とはいえ縁があった組織の解散は寂しい。
▼統計は、対象の実態を把握し、対応策などを検討する基礎になるものだ。日本では各省庁が多種多様な統計をまとめ、施策の立案に生かしている。農林水産省は、5年に1度実施する農林業センサスをはじめ、分野別品目別の統計を実施、公表している。
▼ただ、調査には手間や予算がかかる。そのため行財政改革の流れなどを受けて見直しが進み、全体的には縮小されてきた。農林水産省は先ごろ開いた有識者会議で、2025年農林業センサスで集落の寄り合い実施状況など農業集落調査を廃止する方針を提示。複数の委員が継続を求めたという。
▼高齢化・過疎化が進む集落では、共同活動など農業や生活、文化に関わる機能が衰退し、適切な措置や振興策の推進が急務だ。最新の情報通信技術を駆使して実態把握ができないか。廃止ありきは早計だ。