【茨城支局】「収入保険は営農リスクを軽減できる保険。今後もそういった保険であり続けてほしい」と話すのは、かすみがうら市の根本修〈ねもと・おさむ〉さん(47)。家族5人でレンコン6.3ヘクタールと水稲60アールの栽培に取り組む。新型コロナウイルス感染症や異常気象の影響を受けたが、収入保険の保険金等を受け取ったため、安心して営農に取り組むことができているという。農地がある霞ヶ浦周辺は、白く肉厚でシャキシャキとした食感が特徴の「金澄〈かなすみ〉」系品種を作付ける農家が多い。しかし、産地や生産者間での品質などのバラつきが大きいため、近年では生産者、JA、普及センターなどで優良系統が選抜された。根本さんは、地下茎が大きく、食味が良い年内収穫向けの品種「幸祝〈こうしゅく〉」「パワー」「ひたちたから」を主力に栽培する。4月上旬から5月中旬にかけて、種レンコンと呼ばれる根茎の一部を植え付ける。種レンコンは前年のうちに水田に定植し、使用する際に掘り起こす。その中から、丸く、ふっくらした良質なものを選定。本圃に植え付け成長させる。6月から7月はアブラムシやイネネクイハムシの病害虫防除、専用肥料の追肥を実施。収穫は8月中旬から翌年5月ごろまで続く。井戸の水を機械でくみ上げ、ポンプの水圧でレンコンの泥を飛ばす方法で収穫する。近年多発する台風のほか、霞ヶ浦沿岸で発生しているジャンボタニシやミシシッピアカミミガメなどの外来種生物による食害で、収量に多大な影響が出ているという。ネモグリセンチュウによる黒点症状や変形などの品質低下にも悩まされている。一方、肥料や資材、農薬の値上がりが懸念されるなど心配は尽きない。そのような状況の中でも「リスクに対応している収入保険に加入して、経営基盤が安定すれば、さらなる展開が見込める。それが後継者の確保や食料自給率の向上、地域の活性化、そして"未来の育農"にもつながるはずだ」と根本さん。今後も収入保険に加入し、「小型無人機(ドローン)などの設備投資で、品質向上や高収益を目指していきたい」と力強く話す。
〈写真:根本さんと収穫したレンコンを手にする娘の悠禾〈ゆうか〉ちゃん(3)〉