▼「地方で暮らしたい人」と「一緒に暮らす仲間を探す地域」を橋渡しするふるさと回帰支援センターが設立から20周年を迎えた。面談や電話、メール、見学、セミナー参加などを合計した2021年の相談件数(東京)は、前年比29%増の4万9514件で過去最高を記録したという。20年はコロナ禍で大きく落ち込んだものの、V字回復した。
▼理事長の高橋公さんが同センター広報誌に寄せた文章によると、設立から数年間は集客や運営費の確保に苦労されたようだ。その後、08年のリーマンショックを機に地方移住への関心が高まり、11年に発生した東日本大震災と原発事故によって子育て世代の地方移住が全国に広がったと振り返る。
▼昔の新規就農者の取材では、多くの役を引き受け、行事には必ず参加するなど集落に受け入れてもらうまでの苦労話をよく聞いた。最近の体験談では、受け入れ側の人との出会いを決め手とする記述も多く、受け入れ側の意識が大きく変わった気がする。
▼地方移住を希望する人たちは、地域を探すというより、移住後に長く付き合える人を探しているのかもしれない。