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場所取らず暑さに強く 生キクラゲの販路拡大【7月3週号 新潟県】

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 【新潟支局】「生キクラゲのおいしさを最大限に引き出すポイントは火を入れすぎないことです」と話す長岡市黒津の反町敏彦さん(58)。妻の加代子さん(58)とパート従業員とともに、全国的にも珍しい生キクラゲを生産する。キクラゲの生産を始めたのは2018年。長年、農閑期はシイタケを栽培してきたが、キノコの種類を増やそうと着目したのがキクラゲだった。キクラゲは国内生産量が少なく、消費量の大半を輸入に頼っている。中でも、生キクラゲの国内市場は3%程度とごくわずかだ。プリプリとした食感が特徴で、販売店舗が少ないため、珍しさから需要があるのではないかと考えた。種菌を植える培地や栽培用のハウスなど、シイタケ栽培で使う設備をそのまま流用できたことも、栽培を始める決め手となった。「キクラゲは暑さに強いので、夏場の冷房は不要です。一つの株から何回か収穫できて、場所を広く取らずに栽培できますし、育てやすさも魅力ですね」と敏彦さん。栽培には水分が欠かせないため、ハウス内が乾燥しないように、タイマーをセットしてミストを噴出し湿度を管理する。水分を与えすぎると生育に影響が出ることから、日々の天候を見極めて散水量を調整。収穫は手作業で、加代子さんが中心となってスタッフをまとめている。販売当初の売れ行きは思わしくなかったが、昨年、テレビ番組で生キクラゲの特集が放送されたところ、需要が一気に伸び販路が拡大した。現在、県内各地の直売所やスーパーへ出荷している。購入者の評判は上々で、問い合わせも多いという。敏彦さんは「販路が拡大したのはうれしいですね。多くの方に生キクラゲを味わってもらいたいです」と話す。

〈写真:「妻の力がなかったら、うちは回りません。とても感謝しています。これからも仲良く二人三脚で頑張っていきます」と敏彦さん〉