ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

スマート農業 確かな手応え【7月2週号 福井県】

220714_2.jpg

 【福井支局】「小型無人機(ドローン)での防除やスマート農機を利用して、作業時間の短縮や省力化に成功した」と話すのは、勝山市荒土町境の岩岡千賀子〈いわおか・ちかこ〉さん(63)。今年5月には自動操舵システム搭載のトラクターを導入するなど、スマート農業を率先して取り入れている。千賀子さんは夫の久〈ひさし〉さん(64)と水稲9.4ヘクタール、大麦1.3ヘクタール、ソバ3.6ヘクタール、サトイモ74アールを栽培する。スマート農業を導入したきっかけは、2020年4月に千賀子さんが農作業中の事故で大けがを負ったことだった。1カ月の入院と自宅療養で仕事が約1年間できず、その年は収量・収入が大きく減少した。久さんと話し合い、互いに体の無理が利かなくなってきたこともあったため、体への負担を少しでも減らせるよう、ドローンによる防除の導入を決意。21年3月に千賀子さんが操縦免許を取得し、ドローンでの防除を始めた。これまでは、大量の水で希釈した防除剤を大型タンクに準備し、防除中に重いホースを引っ張るなど、かなりの労力が必要で、すべての防除を終えるのに1週間ほどかかっていたという。ドローンによる防除を導入した結果、必要最低限の量で、すべての圃場の防除を数日で終えられるようになり、節水と時短に成功した。今年5月には自動操舵システムを搭載したトラクターを導入し、NOSAI福井(福井県農業共済組合)が提供するRTK固定基地局(GPS補正情報配信システム)を活用して、田植え前の代かき作業から利用している。「まっすぐ正確に作業ができるため、何度も往復する手間がなくなって、とても楽になった。農業は体が資本だが、作業負担は少ないほうがいいのは当たりまえ。機械に頼れるところは頼ってもいいと思う」と千賀子さん。「スマート農業を利用することで、生産管理に手がかけられる時間と余裕ができた。これからは品質管理にも力を入れ、おいしい農産物を届けていきたい」と意気込む。

〈写真:「大型機械は私、細かい作業は夫と、作業を分担している」と話す千賀子さん(左)と久さん〉