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健康効果をアピール 甘酒の原料に機能性成分米【7月2週号 岐阜県】

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 【岐阜支局】「私たちの『機能性成分米』や『健康米』『奇跡の米』で、心も体も健康になってほしい」と話すのは、株式会社グリーンランドの安部道洋〈あんべ・みちひろ〉代表取締役(43)。養老町と海津市の水田約80ヘクタールで水稲を中心に作付ける。中でも、米麹甘酒で注目の「レジスタントプロテイン」を含む機能性成分米の栽培に力を入れている。レジスタントプロテインは、食物繊維のように体内で消化、吸収されにくいといわれるタンパク質で、健康効果が期待されている。グリーンランドでは、この機能性成分を含む米「LGCソフト」のほか、通常の3倍の大きさになる胚芽により脚気予防に効果があるとされる健康米を栽培。ほかにも奇跡の米「イセヒカリ」や「コシヒカリ」「ハツシモ」など10品種を、父の正博さん(72)や従業員と共に作付ける。健康米の生産を始めたきっかけは、腎臓病を患っていた親戚の食生活を見直すためだった。米農家として何かできることはないかと模索していたところ、地元では作付け実績のない品種を知り、真っ先に栽培を試みた。「米は糖質が高いが、気にせずおいしく食べてもらいたかった」と安部代表。当初は病院などの医療機関に売り込み、使用してもらったが、健康に良いと分かっていても、収穫量が不安定で量の確保が難しかったことや単価が高いことなどの理由から、リピートまでには結び付かなかった。そんな時、甘酒や米麹、ぬか床を製造する「こうじや里村」(大野町)から、甘酒の原料米として作付け依頼があった。以前から栽培していたグリーンランドは「健康のお手伝いができれば」と要請に応じ、6次産業化へと発展した。甘酒「すっきり飲める腸活甘酒RP(レジスタントプロテイン)」はノンアルコールで、食物繊維が豊富な17種類の国産雑穀をブレンドし、腸に優しいと評判だ。「昨年は米の買取価格が下落して売り上げが落ちたが、収入保険に加入していたので助かった」と安部代表。「より安心して購入していただけるよう有機肥料を使用し、食味値を上げて収量を増やしたい。スマート農業を進め、作業効率を上げて経営規模を拡大したい」と意気込む。

〈写真:苗箱に水稲種子を播種する安部代表〉