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高効率の施設園芸確立へ 高知県の次世代型施設園芸プロジェクト【6月4週号 高知県】

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 【高知支局】高知県では、園芸ハウスの環境、気象、出荷、画像などのデータを集約するクラウドサービス「SAWACHI(サワチ)」を構築し、AI(人工知能)による予測を組み合わせ、農家の高収益化や省力化を支援する取り組みを進めている。農×産×学×官が連携し、「IoP(Internet of Plants)が導く『Next次世代型施設園芸農業』への進化」と題したプロジェクトは、10カ年計画で今年5年目を迎える。高知市春野町でキュウリを栽培する越智史雄〈おち・ふみお〉さん(55)は、就農して7年目。元マイクロソフトのエンジニアという経歴を買われ、プロジェクトのアドバイザーを務める。SAWACHI用に開発した基盤にハウス内の機器を接続すると、データはクラウド上で共有化。スマートフォン・タブレット・パソコンから確認できるようになる。温湿度や植物の生育状況がセンサーやカメラなどでリアルタイムに確認できるので、適切な水やりや温湿度の調整などの栽培管理に役立つ。出荷量と秀品率を分布図で表示する機能があり、生産性の高い農家のデータを目標値として参考にすることができるという。越智さんは「AIを利用して、植物の実や花数を画像から自動判別するほか、各ハウスの最適な環境設定を導き出すという検証が、県東部のナス農家を対象に始まりました。利用者が増えて多くのデータが蓄積されれば、今までブラックボックスだった植物の反応が可視化され、より効率性の高い栽培技術が確立されていくと思います」と期待する。昨年秋から本格実証が始まったSAWACHIの利用者は、現在県内で326人。本年度は2千人が目標で、将来は県内のハウス農家約6千戸へのクラウドサービス提供を目指している。

〈写真:ハウスの環境をタブレットでモニタリングする越智さん〉