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酪農の楽しさ ラジオでアピール【6月3週号 北海道】

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 【北海道支局】広尾町の角倉円佳〈すみくら・まどか〉さん(39)は、株式会社マドリンの代表として酪農を営む傍ら、帯広市でラジオ番組のパーソナリティーを務める。農業の世界だけではなく、地域や都市に向けて酪農の意義を伝える活動に取り組む。同社は2007年に設立。搾乳牛約60頭、年間出荷乳量はおよそ714トンだ。コントラクターやTMR(混合飼料)センターを利用するほか、育成預託などは外部委託し、搾乳に特化した経営形態となっている。角倉さんは大学卒業後にカナダで酪農研修を2年半経験。現地の女性経営者に強い影響を受け、帰国後に1人で牧場を立ち上げた。十勝は酪農が盛んな地域だが、その楽しさを世間に発信する人や場が少ないように感じ、ラジオ局に自ら売り込んだという。酪農を楽しんでいる人たちが、その楽しみを発信していかないと未来につながらないと感じ、酪農家が子供たちの夢として目指すものになるよう、酪農の楽しさを発信している。同社は本年度、畜産農場におけるHACCP(ハサップ=危害分析・重要管理点)の考え方を取り入れた衛生管理手法「農場HACCP」の認定を受けた。「経営がきちんとなされ、牛が健康でなければほかのことはできない。認定を受けたことで、牛たちを安全に管理するという意識がさらに高まる」と角倉さん。「作業を可視化することで、従業員に教えやすく、徹底できなかった作業が細かく対応できるようになってくる」と期待する。実習生の受け入れを通じて、酪農家を育てたいという思いがより強くなったという。実習生たちの新たな経験に対する反応を見ることは、楽しく、励みにもなっている。「『牧場を女性1人で経営する』『女性同士や男女の友人同士で共同経営をする』などの考え方が広がってもよいのではないか」と角倉さん。「酪農をやりたいと思っていても、女性だからという理由であきらめないでチャレンジしてほしい。酪農の世界がもう少し多様化し、地域としても新たなやり方を受け入れていく体制が整ってほしい」と話す。

〈写真:ラジオ番組のパーソナリティーを務め、情報発信に余念がない角倉さん(右)〉