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収入保険 つなぎ融資が廃業危機を救う【6月2週号 秋田県】

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 【秋田支局】「収入保険に加入していなければ営農を継続するのは難しかった」と話す小坂町の目時勝則〈めとき・かつのり〉さん(53)。水稲34アールとトマト30アール、アスパラガス75アール、花き20アール、その他野菜10アールを栽培する。昨年、病害や高温による生育不良、最高値で取引される時期の単価下落などが原因となり収入が減少した。就農から13年で、ここまでの収入の落ち込みは無かったが、部分的に被害が発生した年は資材費などの支払いに苦労したという。自然災害や病虫害による減収と品質低下に加え、価格低下も補償される点にメリットを感じ、NOSAI職員の勧めもあって収入保険に加入した。昨年、トマトを作付けていたハウス3棟で被害が発生。廃業を考えるほど深刻だった。「特にトマトのかいよう病による影響が大きかった。苗の段階で病害が一気に広がり、すぐに薬剤で防除したが、阻止することができなかった」。保険金の支払いは翌年6月ごろになるため不安を感じていたが、つなぎ融資のことを思い出し、すぐに申請した。「申請から融資を受けるまでが迅速で良かった。税務申告後に支払われた保険金は春の運営資金に充当でき、補償の厚さに助けられた」。同じ被害に遭わないように、現在は土壌改良や防除対策を徹底する。土壌菌のバランスを整える作業に力を注ぎ、ハウス内に菌や害虫が侵入しないように細心の注意を払う。所属するJAの野菜部会では、収入保険が話題に上ることが多いという。加入初年の納入額が大きいため迷っている人に向け、「安定的な営農を続けるためにも加入をお勧めしたい」と話す。加入条件の青色申告については「青色申告会やJAの税務友の会を通してやると簡単。いろいろな方に教えてもらいながらできる」と勧める。市場価格の下落にも対応する収入保険は、農家の助けになると考える目時さん。「補償限度9割ではなく、10割補償になってくれれば」と期待を込める。

〈写真:「手厚い補償で助かった。加入して本当に良かった」と目時さん〉