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備えて安心「園芸施設共済」【6月1週号 山梨県】

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育苗ハウスの保険は絶対必要
 【山梨支局】「キュウリは苗が大切だから、育苗ハウスには保険が絶対必要。仲間や新規就農者に勧めているよ」と話す都留市の瀧口大祐さん(74)。25アールでキュウリ1700本を露地栽培し、園芸施設共済には2011年から加入する。瀧口さんのキュウリは市場関係者が集荷に直接来るほど引き合いが強い。手作業で接ぎ木して育てた丈夫な苗が高品質の秘けつだ。2500本を育苗し、地域の農家にも提供する。3月末に播種し、10日ほど育成した後に接ぎ木。台木用カボチャ「エイブル」にキュウリ「Vアーチ」を接ぐ。苗床の下に電熱線を引いて加温し、生育や気候に合わせて温度を調整。接ぎ木部分を風に当ててはいけないため、ハウス内にトンネルを設置して管理を徹底する。接ぎ木苗は、5月上旬と6月中旬の2回に分けて定植。5月末から9月ごろまで収穫するため、葉が混み合わないよう株間は70センチを確保する。水田だった畑には、有機肥料だけを施用するとともに、水が抜けるように穴を数カ所掘り、もみ殻を入れるなどの工夫を凝らす。昨冬、2棟あるハウスのうち1棟の屋根面全体のビニールが強風で損傷し、共済金を受け取った。瀧口さんは「自分たちで張り直すので、ビニールの購入費用として共済金は十分。とても助かった」と振り返る。14年2月の大雪では1棟が全壊。その後、パイプ径を19ミリから22ミリに変更し、今までよりも20センチ深く土に埋め込むことで強度を上げた。筋交いを設置し、強風時や降雪時には自作したアーチ部への支柱を立てて補強している。瀧口さんは「息子が就農し、今後は新しいハウスを建築する予定。ソーラーと蓄電池を使って、燃料費がかからず、SDGs(持続可能な開発目標)にも配慮した農業を目指したい」と話す。

〈写真:強風で損傷し、張り替えた屋根面を指す瀧口さん〉