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スマート農機の広域シェア 実証実験に参画【4月3週号 広島県】

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 【広島支局】庄原市西城町の重原盛導(せい どう)さん(37)は、合同会社重原農園を営み、水稲1ヘクタール、ハウス2.2ヘクタールでホウレンソウを栽培。「将来にわたって地域の農業を継続させていく」という理念のもと、スマート農業実証プロジェクトに参加し、スマート農機の広域シェアの検証を進めている。「高価な機械の購入が利益を圧迫する。更新を機に農業をやめてしまう人が多い」。重原さんは、高齢化や後継者不足による離農を地域全体の問題と捉え、国や農研機構が主導する同プロジェクトへの参加を決めた。同プロジェクトは、情報通信技術(ICT)などを活用し、スマート農機を広域でシェアする実証実験。期間は2021年4月から23年3月までの2年間で、庄原市・三次市・島根県の農家12軒が参加している。各農家が年間スケジュールを提出し、事業として導入された農機10台の使用日数や使用場所を重原さんが集約し管理。各農家はスマートフォンなどで農機の空き状況を確認でき、計画以外にも農機が空いていれば借りることができる。「専用の機械を買わなくても、新しい作物にチャレンジできる」と重原さん。シェアした播種機で昨年試したニンジン栽培が本年度は本格的にスタートする。プロジェクト参加者からは「高い農機を買わずに使用できて助かる」と好評だという。実証終了後の本格実施に向けて、利用料やサービス内容など運用のルール作りが必要だ。「農機が空いている期間をなるべくつくらないよう、多くの人に使ってもらうのがポイント」と重原さんは話す。同プロジェクトを事務の面からサポートするしょうばら産学官連携推進機構の赤堀幹義さんは「重原さんと同じような思いの人たちが集まってくださっている。この取り組みがうまく回ってくれれば」と期待する。兼業農家で育ち農学系の高校・大学を経て、16年に就農した重原さん。「いま農業をしている人にやめてほしくない。農村風景を守り、農業を続けてもらうには、農機費用の問題は大きい。この取り組みが本格実施されれば、新規就農者が農業を始めやすくなる」と話している。

〈写真:「地域の農地を耕作放棄地にしないために頑張りたい」と重原さん〉