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耕作放棄地の除草/食肉加工品を開発 一挙両得の牧羊【4月1週号 岩手県】

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 【岩手支局】耕作放棄地を活用しようと、花巻市太田の「ひつじ農園はなまき(寺沢義秋(てらさわ よしとし)代表=70歳)」では、2017年から牧羊に取り組んでいる。英国原産「サフォーク種」と雑種を合わせて約100頭を飼育。食肉用として県内に出荷するほか、加工品の販売や観光地化も視野に入れている。寺沢代表は、耕作放棄地で牧羊に取り組む団体の新聞記事を読み、牧羊に興味を持ったという。「自分が住む地域にも耕作放棄地が多く、草刈りが負担になっていたので、牧羊に挑戦してみようと思った」4月から11月は草が茂る場所を選び、数カ所に分けて放牧する。12月から3月は羊舎で飼育。羊舎は、育苗用として使っていたビニールハウスを再利用し、舎内の柵は手作りした。羊肉は食肉用として県内の飲食店などに出荷する。「ブランド化を目指し、稲わらを混ぜたオリジナルの飼料を試作している」と寺沢代表。食肉加工品の販売に向け、現在はジャーキーを試作中だ。「知人に試食してもらい、好評だった。設備が整った業者と共同開発ができればうれしい」同園を花巻市の観光地とする動きも進んでいる。今年3月に県の職員が訪れ、子羊とのふれあいのほか、針を使った羊毛フェルト作りを体験した。寺沢代表は「耕作放棄地の除草が目的で牧羊を始めたが、思いがけない取り組みにつながっている」と笑顔を見せる。

〈写真:育苗用だったハウスを羊舎として再利用〉