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働きやすい環境へスマート農業実践【3月3週号 福井県】

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 【福井支局】「家族を支えるだけではなく、女性が農業経営をリードするモデルになる」と話すのは、坂井市坂井町の伊藤彩華〈あやか〉さん(30)。父親の浩一〈ひろかず〉さん(55)が経営する「株式会社ef」で、妹の優希〈ゆうき〉さん(27)と美香〈みか〉さん(24)とともに、最新のスマート農業技術を利用しながら、多品目を栽培する複合経営に取り組む。彩華さんは大学卒業後、地元の企業に就職したが、2018年に浩一さん夫妻が始めたefの人手が足りなかったことから、長女の自分が支えようと、19年に脱サラし就農した。子供のころから農業を手伝っていた彩華さんが、就農して一番苦労したのが農業機械の操縦だ。浩一さんに教わりながら、トラクターや田植機に乗るものの、まっすぐ進むことも難しかった。その横で、きれいにすんなりとこなす父の姿を見て、技術と経験のすごさを改めて実感したという。そんな中、スマート農業のことを知った浩一さんは「この技術を活用すれば、経験が少ない女性にも、働きやすい環境づくりができるのでは」と考え導入に踏み切った。20年に導入した直進アシスト機能が搭載された田植機の作業では、直進作業が蛇行することなく安定し、1圃場にかかる作業の手間が少なくなった。2人がかりだった肥料散布は、優希さんとともにドローン(小型無人機)操縦資格を昨年取得し、おのおので作業することで、省力化に加え、適期を逃さず散布できるようになった。昨年は三女の美香さんが入社。イチゴのカット加工や販売に貢献している。浩一さんは「今では3人がメインに作業してくれているので、自分の作業負担が少なくなり、とても助かっている」と笑顔で話す。彩華さんは「私たちのような女性でも、スマート農業のおかげで農業機械の作業ができている。これから三姉妹で女性の営農スタイルを確立していきたい」と意気込んでいる。(栽培品目と規模=水稲18.1ヘクタール、麦9.8ヘクタール、大豆5.3ヘクタール、ソバ2.7ヘクタール、白ネギ1.5ヘクタール、イチゴ12アール)

〈写真:イチゴを収穫する彩華さん(手前)、優希さん(左)、美香さん。「コロナが収まったら家族でUSJに行きたい」と話す〉