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注目の食材・青パパイア 新たな特産品に【3月1週号 鳥取県】

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 【鳥取支局】青パパイアの特産化を試みる取り組みが、2020年5月下旬に日野町で始まった。「奥ひの青パパイヤ研究会」が主体となり、町内に約500本のパパイアの苗を定植。研究会の会長・川北皓貴〈かわきた・こうき〉さん(27)は、昨年を振り返り、「実が小さく、収量は少なかった。来期は定植時期を早め、収量確保に努めたい」と話す。青パパイアは、パパイアを未熟な状態で収穫したもの。独特の酵素をはじめ、18種類のアミノ酸にビタミンC、加えて食物繊維やβ―カロテンなどの栄養が豊富だ。ポリフェノールは赤ワインの7.5倍あることから、メディカルフルーツやスーパーフードと呼ばれることがある。病害虫や暑さに強く、栽培の手間があまりかからず育てやすいため、近年注目されている作物だ。青パパイアは野菜として取り扱われる。2月に種を播き、2~3カ月の育苗、4月下旬から5月中旬にかけて定植し、9月下旬から11月中旬ごろに収穫。順調に生育すると、1本の木から約500グラムの実が10~15個実るという。熱帯中南米地域が原産のパパイアは寒さに弱い。定植時期を早めることで、冷え込む前に収穫可能な状態にするという対応が見込まれる。「収穫を終えた苗木をビニールハウスで越冬させ、育苗コストや種苗費の削減を考えている」と川北さん。定植時期を早め、収穫を早々に終えることができれば、苗木が必要以上に寒さにさらされ弱ることはない。初年度の栽培は豊作とはならなかったが、定植時期の見直しや寒さ対策の改善という収穫があった。川北さんは2019年に、当時勤めていた会社を退職し、県外から単身で鳥取へ移住。日野町の農家・高田昭徳〈たかだ・あきのり〉さんに弟子入りし、農業のノウハウを学んだ。川北さんは「ベテラン農業者と比べるとまだまだ経験が足らず、青い部分があるのかもしれない。しかしパパイアと同じように、農業者として成熟し、町の新たな特産品として紹介したい」と話す。

〈写真:試作品として直売所の店頭に並んだパウンドケーキ〉