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大阪で米作り 稲作志す人の道しるべに【2月3週号 大阪府】

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 【大阪支局】「大阪では、稲作での新規就農はほとんどない。頑張って軌道に乗せ、稲作農家を志す人たちの道しるべになれれば」と話すのは、能勢町に移住し「安田ふぁーむ」を営む安田翔さん(33)。農薬不使用で水稲2.5ヘクタールを栽培する。直売でリピーターを獲得し、規模拡大などに向けて一歩ずつ進む。「今後数年かけて少しずつ前に進めていきたい」と先を見据える安田さん。農作業の合間には草刈り作業の請け負いもこなす。安田さんは大学卒業後、海上自衛隊員として勤務していた。護衛艦などで5年間、国内外を転々とするうちに「地に足がついた生活がしたい」と考えるようになったという。農業にはもともと興味があったことから、除隊して北海道十勝に移住、農業資材会社に勤めた。「地元大阪で米作りを」と決意し、2019年に能勢町に移住して一歩を踏み出した。町内の農業法人で研修生として農業技術を1年間学び、その後独立。離農した人などから農地を借り、農業用機械は全て中古を購入した。米作りでは、「生命力にあふれた健康な作物を作りたい」と農薬不使用を徹底する。「生産者の顔が見える農業」をモットーに、ほぼ全量を直売。ホームページや会員制交流サイト(SNS)でのPRが功を奏し、購入者からは「市販の米よりおいしい」と好評でリピーターが多い。規模拡大を考える一方で、「農薬不使用栽培の技術向上と、生産・販売体制の早期確立が当面の目標。試行錯誤を重ねています」と話す。消防団に入るなど地域とのつながりを大切にする安田さん。「地域との付き合いも農業の一環であると考え、行事や作業に積極的に参加し、地元の活性化に役立てるよう努めています」と充実した日々を送る。

〈写真:就農と同時に開業したゲストハウスと安田さん。農作業体験なども提供し、家族連れなど年間30組ほどが訪れる〉