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収入保険・私の選択  経営改善に有効、青色申告を推奨【2月3週号 福島県】

 【福島支局】収入保険の加入条件である青色申告は、最大65万円の特別控除が受けられるほか、自身の農業経営を把握することができる。青色申告に取り組む農家に、メリットや集計方法を聞いた。

 いわき市川前町の猪狩光正さん(80)は、収入保険加入条件の青色申告について「基礎控除の面でメリットがあるのはもちろん。農業経営の状況が把握でき、改善点などが見えることが最大のメリット」と話す。1976年に青色申告を始めた。当時はJAの営農指導員を務め、青色申告に率先して取り組み、確定申告の普及推進を図った。「会計ソフトなどが普及し、青色申告を始めやすい時代になった」。当初は、領収書の保管や決算期の集計業務に苦労したという。現在、JAでの取引はJA情報マネージメントで科目ごとに集計されるので便利になった。そのほかの農業用の経費は、科目ごとに領収書を作ってもらい保管すると集計しやすいという。現在、水稲120アール、牧草80アールを作付け、肉用牛9頭を飼養する。収入保険はこれまでにないオールリスク型の保険だと知り、2020年に加入した。「収入保険に加入することができるので、ぜひ積極的に取り組んでほしい」と青色申告の活用を勧める。

 田村市常葉町で葉タバコを約165アール作付ける渡辺幸蔵さん(62)は、制度発足時に収入保険に加入した。「青色申告者を対象にした幅広いリスクに対応する保険ができたとNOSAI職員から伺い、すぐ申し込んだ。2020年には収入が減少したが、補填を受けてとても助かった」。青色申告は渡辺さんの父が始め、16歳のころから書類作成を手伝ってきたという。すべて自分で処理するようになってからは、研修会などで勉強してきた。1995年ごろに会計ソフトを導入。パソコン操作は近所の人に教わり、今では順調に書類を作成する。水稲栽培は農業法人に委託し、同法人で渡辺さんは会計を担当。申告に必要な書類を作成する。「書類を作成することで、経営状況を自然と把握できる。その延長で数値をグラフ化し、経営分析もできる」。青色申告を検討している人に向けては、「帳簿や日誌の整理を日課として取り組めば、白色からの移行は苦にならないと思う。年齢にかかわらずチャレンジしてほしい」と話す。


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〈写真:いわき市・猪狩光正さん〉








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〈写真:田村市・渡辺幸蔵さん〉