ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

レモン栽培に手応え 飲食店などで好評【2月2週号 山梨県】

220210_3.jpg

 【山梨支局】山梨市下石森で「矢崎屋ファーム」を営む矢崎敦仁さん(46)は、主力のモモ以外に、レモンなどのかんきつ類をハウス栽培する。「これまで築き上げてきたモモ栽培を継続しつつ、山梨県ではあまり例の無い、新しい果実の栽培にチャレンジしたいと思いました」と話す。木で黄色く完熟させたレモンは、県内の飲食店などで好評。手応えを感じている。 矢崎さんは露地でモモ180アールを栽培する傍ら、ハウス3棟でレモンやブラッドオレンジ、フィンガーライム、ミカンなど計5品目のかんきつを生産する。「山梨は海無し県で、冬は厳しい寒さ。瀬戸内のような暖かい地域で栽培するかんきつ類に憧れがあり、興味が湧いた」。15年ほど前に栽培を始め、独学で試行を重ねた結果、栽培本数が増えて安定生産ができるようになり、取引先が徐々に増えた。レモンは「アレンユーリカ」「メイヤー(マイヤーレモン)」の2品種、15本を栽培する。収穫期は11月から1月までの約3カ月間。木で黄色く完熟させ、注文に応じてその都度収穫する。レモンは矢崎さんが1人で管理。自家結実性のため授粉作業は不要だ。ビニールの張り替えなどハウスの手入れは欠かせないが、灌水は週1~2回、摘果の必要がないため、モモと比べて手間がかからないことがレモンの魅力だという。「昼夜の寒暖差が大きい山梨県での栽培は、温度管理が非常に難しいですね」と矢崎さん。当初はボイラーだけを使用していたが、重油などの燃料費がかさむため、4年前にまきストーブも導入した。まきは地元のチップ工場から仕入れ、燃料費のカットを実現している。1シーズンの出荷は5千~6千個ほど。北杜市のスーパーマーケット「ひまわり市場」や県内の飲食店へ直接卸しており、サワーやケーキ、リゾットなど幅広く活用されている。現在の収入のほとんどはモモで、レモンはわずかだが、「レモンを始めて飲食店やバイヤーさんとの横のつながりが増えたのが良かったです」と矢崎さん。飲食店の要望に応じて栽培方法を変えるなどの工夫につながった。「レモンは日持ちがするし、売り方のバリエーションもさまざまです。今後もいろいろ研究しつつ増やしていきたいですね」と話している。

〈写真:レモンの出来を確認する矢崎さん。農薬の使用を控えているため、果皮まで安心して食べられる〉