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ホウレンソウ年6作 全国に届けます【1月4週号 岩手県】

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 【岩手支局】普代村中山の「マルハ農園(中村駿人(はやと)代表=28歳)」では、夏はホウレンソウ、冬は寒締めホウレンソウに切り替え、年6作の回転栽培に励んでいる。JA新いわてや地元産直のほか、ふるさと納税の返礼品として全国に出荷。特産ホウレンソウの普及拡大を目指す。中村代表は2014年に就農した。「冬にしか味わえない甘い寒締めホウレンソウを全国の方に食べてもらいたい」と、家族2人とパート2人を雇用し、一年を通して出荷している。マルハ農園がある久慈地域は、夏は冷涼なやませが吹き、冬は積雪量が少ないため、暑さに弱いホウレンソウの栽培に適しているという。冬季に出荷する寒締めホウレンソウは、糖度8度以上で肉厚な食感が特長だ。「寒締め栽培は地中温度が大事で、地中温度が5度以下になると糖度が増す。今季は特に甘く、糖度が14度になるものもあった」。露地栽培(35アール)は、昨年の8月末に播種し、11月中旬から約1カ月間収穫。ハウス栽培(11棟22アール)では、9月下旬に播種し、12月中旬から2月末まで収穫する予定だ。寒締めホウレンソウは横に広がって育つため、葉に土が付着しないように手作業で収穫する。「土が付着していると、土を落とす作業に時間がかかってしまう。梱包までの流れをスムーズにするため、丁寧な収穫を心掛けている」。同農園では、連作障害を防ぐため、収穫後の圃場に牛ふん堆肥を混ぜている。土壌の水分量が増え、夏の暑い時期でもしおれずに丈夫なホウレンソウが育ち、年間を通して品質が向上したという。「産直などに出荷するものには、自社のロゴステッカーを貼って、ほかの生産者の商品と区別できるようにしている。このステッカーを目印に購入してほしい」。ふるさと納税の返礼品として、地元の海産物とホウレンソウのセットを出品している。今後は販路拡大のため、ネット販売を視野に入れているという。中村代表は「この地域の風土を生かして栽培しているので、高品質でおいしく育つ。家族などと協力しながら自慢のおいしいホウレンソウを全国に届けたい」と意欲を見せる。

〈写真:「寒締めホウレンソウは、しゃぶしゃぶで食べると甘さが引き立っておいしい」と中村代表〉