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ブドウの省力栽培「野上方式」【12月2週号 岡山県】

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 【岡山支局】岡山市の野上庄吾さん(65)は、ブドウの省力栽培「野上方式」を考案した。岡山大学大学院と共同で効果の実証試験に取り組む。笠岡市にある農園と協力し、自身の園地以外の環境で同方式による栽培を実施。その効果を検証するとともに、栽培方法をマニュアル化するという。野上方式はブドウの根域を制限し、水と液肥を点滴灌水することで管理を自動化する。土壌には、容易に手に入りコストが安い真砂土を使う。野上さんは「土づくりを考えなくていいことが最大のメリット。施肥や園内の除草作業などの"下側"の作業をおよそ半分に省力化することで、房づくりなどの"上側"の作業に集中できるようになる。栽培に必要な場所以外は土を固めても問題ないため、ハイヒールで歩けるほど作業環境が良くなる」と話す。一般的には根を発達させた方が良いとされるが、適切な灌水管理をすれば根は必要最低限でよいという。「農業は科学だと考えている。勘に頼るのではなく、データを蓄積することで発展する」と野上さん。共同研究に取り組む岡山大学大学院環境生命科学研究科の福田文夫准教授は「野上方式は分かりやすいシステム。初心者でも失敗なく取り組めるようになることで、新規就農者が増えることを期待している。野上さんは研究熱心で物事を突き詰める姿勢がすばらしい。自分の技術を惜しみなく伝え、後進の育成に尽力してくださる懐の深い方だ」と話す。

〈写真:棚は軽トラックが乗り入れられる高さに設定。「運搬がとても楽になった」と野上さん〉