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軽量で扱いやすい電柵設置 獣害対策に団結【11月4週号 広島県】

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 【広島支局】「女性たちでも、力がいらない、お金もかからない、重労働でもない獣害対策ができる」。熊野町萩原地区で女性5人で活動する「ふぁーむ我花咲〈わかさ〉」は、地区内にモデル圃場4.5アールを設け、2018年からイノシシ対策に取り組む。「女性ならではの団結力は、獣害対策に向いていると思う」と、協力して管理する電気柵などの効果により、18年以降、被害は一度もないという。同グループの代表・庄賀深雪さん(73)は、地域でイノシシ被害の増加が問題となる中、同町と県が主催する鳥獣被害対策講習会に参加。「女性が活躍する鳥獣害対策」について学んだことがグループ結成のきっかけだったという。獣害対策をするに当たり、借り受けた耕作放棄地で草刈りや耕起を行い、モデル圃場として再生させた。その後、同町や県などの指導で電気柵を設置。電気柵は、ダンポール(プラスチック製の支柱)、電線、結束バンドといった軽量で安価な材料を使用し作製した。「この電気柵なら女性でも扱いやすく、1人で簡単に設置できる」と利点について説明する庄賀さん。「講習を受けるまでは、獣害対策は力仕事なので男性にしかできないと諦めていたけれど、柵の設置・管理や、畑に野菜くずを放置しないことなど、私たちでもできることがたくさんあると知った」と話す。現在は、圃場の四方を電気柵できっちりと囲い、定期的に草刈りや柵の保全管理に取り組む。再生した圃場には、同町特産の黒大豆を植え付ける。今年は10月中旬に収穫し、地元小中学校の給食にエダマメとして提供した。同グループのメンバー・住川由子さん(64)は「みんなでおしゃべりしながら作業するのは楽しいし、情報交換にもなる」と話す。活動を支援する同町農林緑地課の諏訪本〈すわもと〉壮太課長補佐は「地域住民が団結してイノシシ対策に取り組む点が素晴らしい。ふぁーむ我花咲の活動をきっかけに、地域で協力して農地を守る活動が広まれば」と期待を寄せている。

〈写真:「作業は大変ですが、みんなでやるのが楽しいので続けられます」と話す庄賀さん(左端)と、ふぁーむ我花咲のメンバー〉