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レモン長期出荷を実現 高単価の夏需要に照準【11月4週号 愛媛県】

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 【愛媛支局】「紅まどんな」「せとか」など約60アールを栽培する上島町岩城島の村上礼一さん(73)は、夏レモンの栽培に取り組み、通常の収穫期と合わせて長期出荷を実現した。30歳で就農した当時は、輸入自由化のあおりで国産レモンの生産が衰退していた。1974年、安全な国産レモンを生産しようと、県立果樹試験場で周年生産を目的としたレモンの栽培試験が始まる。従来の品種「リスボン系」は、結実性が強いものの、樹勢が強くトゲが多いため、栽培管理には注意が必要だった。数種類あった品種の候補から「アレンユーレカ」が選ばれた。トゲが少なく、四季咲き性が強く、幼木期から結実性に優れ、樹勢が緩やかなのが特徴。耐寒性が比較的弱いので、ハウスで栽培している。村上さんら農家による夏レモン栽培が始まって今年で2年目。2020年12月の収穫後、閉め切ったハウス内が氷点下にならないように2度程度に保温することで、冬花の開花と着果を促進。6カ月後の21年7~9月の収穫後、すぐに秋花の開花を誘導し、22年5~7月に収穫する予定だ。村上さんの園地では、今年はしっかり灌水できたこともあり、昨年より多く収穫できたという。「夏レモンは珍しいので高単価で、低コストなことが魅力です。瀬戸内海の温暖な気候を有効利用するので、暖房などの加温は必要ありません」と村上さん。「安定して供給できるよう多くの人に広めたいです」と話す。

〈写真:「通常より高単価での販売を見込める夏季の収穫を実現できます」と村上さん〉