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収入保険・私の選択 産地活性化に不可欠【11月1週号 茨城県】

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 【茨城支局】「子供たちが経営に携わるようになり、規模を年々拡大しています」と話すのは、行方市で米やレンコンを生産する髙須貴宗さん(43)。近年の異常気象や新型コロナウイルス感染症の影響を考えると、規模拡大や後継者確保に不安はあったが、収入保険に加入していることで、安心感を持って営農に取り組めるという。髙須さん方では、水稲30ヘクタール、レンコン3・5ヘクタール、セリ10アールを家族6人と子供の友人の計7人で栽培に取り組む。水稲は未耕作水田を借り受け、規模拡大を徐々に図る一方、価格低迷が続く米だけでは不安があるため、レンコン作りにも力を入れる。経営には長男の竜都さん(22)や長女の優奈さん(24)が加わり、担い手不足が叫ばれる中、後継者の確保に成功している。竜都さんは「農業は自分で考え、自由に経営できるところが魅力。父と共にさまざまなことにチャレンジしていきたい」と話す。今後は労働力の配分を見直し、作業の効率化を図って売り上げを増やしていきたいと考えている。さらに販路拡大や6次産業化を視野に入れていくという。茨城県農業協同組合青年連盟の委員長を務める髙須さんは、県農業の活性化を図るため尽力している。最近はコロナ禍のため活動は縮小傾向だが、視察研修や農業者同士の意見交換などの動画を制作し、動画共有サイト「ユーチューブ」で配信。11月10日にはJA東京アグリパークで開催予定のイベントで、県農産物のPRと野菜配布を計画するなどさまざまな取り組みを進める。そんな中で、コロナの影響で本年産の米価が低迷した。出荷先の「JAなめがたしおさい」の米価格表を見ると、買い取り金額が前年と比べ、多くの品種で1等米では2千円から3千円程度の値下げとなった。価格が下落した影響で、髙須さん方の年間収入は2割程度の減少が見込まれるが、「収入保険は万が一のため。甘えると作業が止まる。まだレンコンがある」と意気込む。それでも「安心感がある」と安堵の表情を見せ、「みんなに広めたい」と収入保険加入を推奨する。行方市は、収入保険の保険料を10万円を上限に半額を補助する。同市は全国有数の野菜産地で、若手農家が多く、さまざまなことに挑戦している。挑戦にはリスクを伴うが、品質向上や増収増益につながり、農業経営の安定や発展に収入保険は欠かせない。髙須さんは「さまざまなリスクに対応する収入保険への加入が進めば、挑戦する農家がもっと増え、産地が活性化していく」と期待する。

〈写真:「レンコンで頑張る」と髙須さん。雨の日も収穫に励む〉