【香川支局】香川県にIターン就農した2009年から、農薬・化学肥料を一切使わない野菜作りに取り組む「大空のうえん」の竹田信太さん(さぬき市小田、45歳)。現在、借地を含めた農地約240アールで、年間100品目の野菜を栽培する少量多品目経営を実践する。竹田さんは「自然のままに育てた野菜は味が違います。安全・安心なおいしい野菜を食べてもらいたい」と話す。メインで栽培するのは、旬のある秋冬野菜。管理が大変になる夏場は栽培を減らし、農地一面を透明のビニールで覆い、1カ月以上をかけ太陽熱で消毒する。「菌や害虫を退治してくれ、連作障害が出ません。草も生えにくくなります」。土作りは、おからの堆肥や緑肥、もみ殻などを使う。牛ふん堆肥などのアンモニア系は使用せず、必要に応じて少量の魚粉を用いる程度にしている。「草の種類を見て、土中のチッ素成分を推測します。当初は害虫被害に遭ったこともありますが、土作りが下手だったから招いた結果です。すべては土作りから始まります」。目指すのは土中の微生物を増やしたふかふかの土だという。苗作りの土から化学肥料を一切使わない徹底ぶりだ。竹田さんに師事する農園「旅」代表の蓮井俊輔さん(同市、43歳)は「竹田さんの土作りからの栽培技術は本当に素晴らしい。農薬と化学肥料を使わない野菜は幅広い年齢層に需要があり、中でも竹田さんの商品は取引先から味や品質が高く評価されているため、引き合いが多く品薄の状況だと聞きます」と話す。
〈写真:「良いものを作りたい」とレタスを播種する竹田さん。値段はすべて自分で決めている〉