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織物業者が養蚕に参入 県産蚕糸で絹製品を【9月4週号 山梨県】

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 【山梨支局】富士吉田市で織物業を営む有限会社カシワギでは、昔の農家の生活必需品だった「真綿」の効能を再現するため、6年前に桑の栽培から計画を進め、養蚕に挑戦している。同社の柏木幹弘社長(74)は「養蚕農家が減り、県産の蚕糸が手に入らなくなったため、自分たちで養蚕を始めました」と話す。真綿は蚕の繭を綿状にしたものだ。「昔から赤ちゃんの頭にかぶせたり、風邪のときに首に巻いたり、傷に当てたりと、本来の真綿には人体に良い効能があります」と柏木社長。「輸入品の繭では本来の効能は見込めない」と、桑園には化学肥料は使わず、腐葉土を基本に、おからを配合して土作りに取り組む。養蚕は柏木社長の次男・永次さん(36)が担当。今年は夏蚕と晩秋蚕を、それぞれ3万3千頭飼育し、夏蚕では40キロを収繭した。蚕は稚蚕飼育した2齢を導入。桑葉を1日4回収穫し給与する。温度管理ができるハウスを蚕室として使用し、室温は25度に調節した。永次さんは「導入の1週間前に蚕室を消毒し、衛生面に日々気を付けています。かび対策は石灰を毎朝掛けています」と話す。今後は県外の工場で製糸・撚糸し、自社で織って来年に商品化する予定だ。

〈写真:3齢の蚕に給桑する永次さん。極細繊度品種「白麗」を飼養〉