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集落営農支える効率化・安定生産【9月1週号 石川県】

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 【石川支局】農事組合法人千耕(代表理事・北村進二さん=64歳)は小松市千代町で、水稲をメインに大麦、加工用トマト、タマネギ、カボチャなどを合計26ヘクタール耕作する。栽培品目は土壌に合わせ、作業時期がかぶらないように選定。品目ごとに栽培方法を工夫し、品質を維持しながらの低コスト・効率化をねらう。同法人が作付ける水稲は「ゆめみづほ」「コシヒカリ」「ひゃくまん穀」。一部のコシヒカリでは、株間を広くして栽植密度を減らす「への字疎植栽培(基肥を無くし生育中期に施肥。肥効性をグラフ化するとへの字型に見える)」を導入した。慣行栽培では1坪当たり60~70株の苗を植えるが、同法人では1坪当たり37株まで減らして植える。疎植栽培のメリットについては「株間を広くすることで、一株一株がしっかりと根を張り太く育つ」と理事の山本浩一さん(61)。株数を減らすことで、1株から大きな穂が多く収穫できるので、収量が安定し、食味が良くなるという。単位面積当たりの苗箱数を減らるうえ、運搬回数や田植機への補給回数が削減できるので低コスト・省力化を実現できる。ひゃくまん穀は、米・麦・大豆の播種ができる機械「スリップローラーシーダー」を用いた乾田直播栽培を導入した。「広く行われているV溝直播では新たに専用の機械が必要。あるものを生かしてコスト削減につなげたい」と北村さん。この栽培を続けることで普及の足掛かりとしたい考えもあるという。

〈写真:「基本の作業を忠実に丁寧に、毎年少しずつ工夫をしています」と話す北村さん(後方)と山本さん〉