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キッチンカーでジビエの炭火串焼き【9月1週号 愛媛県】

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 【愛媛支局】ジビエ(野生鳥獣肉)を使った炭火串焼きなどを、西条市内を中心に移動販売する「ネイティブキッチン」。同市の鈴木寛顕〈すずき・ひろあき〉さん(34)が「ギガントマンモス号」と名付けたキッチンカーで2018年に活動を始めた。鈴木さんは同市に隣接する新居浜市出身で、日本各地を移り住んでいたときに初めてジビエを食べ、野生の肉のおいしさを知った。その魅力を多くの人に伝えようと帰郷し活動を開始。「食べることは、命をいただくこと。それは現代人に薄れている感覚だなと思いました」と話す。キッチンカーを使うのは、ジビエを知らない人や臭いが気になるなどマイナスイメージを持つ人にも関心を持ってもらい、需要を高めたいと思ったからだ。炭火で焼くのはガスや電気に比べ手間はかかるが、焼き上がりが香ばしく、食材のおいしさを十分に引き出すことができる。「野性味あふれるおいしさで、人間と火がともに進化してきたことを思い起こさせてくれます」と鈴木さん。猟期が限られ、流通が盛んではないことが原因で、安定した仕入れは難しい。すべての肉を県内産で賄いたいが、仕入れ量が少ないため他県産のものも使用。需要を高めることで安定した仕入れにつながるよう取り組んでいる。鈴木さんは「中山間地は獣害が多いですが、農作物や森林資源を守りながら、害獣も一つの資源として活用し、人と自然はつながっていることを感じてもらいたいです」と話す。

〈写真:「ジビエの魅力を伝えていきたいです」と鈴木さん〉