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得意分野で協力、IoT活用 工業高校生徒会がマンゴー初収穫【8月1週号 山形県】

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 【山形支局】六つの工業系学科がある山形市緑町の県立山形工業高等学校(髙橋良治校長)では、生徒会を中心にIoT技術(さまざまなものをインターネットで制御する仕組み)を活用したマンゴー栽培に取り組み、初めての収穫期を迎えている。同校で生徒会長を務める金光一心〈かねみつ・いっしん〉さん(情報技術科3年)は「地域の方々など、これまで協力いただいた皆さんと一緒に、マンゴーをおいしく味わいたい」と話す。同校の敷地内にある6メートル×4メートルほどの「スマート植物工場」内で、「アーウィン」4鉢と「キーツ」2鉢のマンゴーが農薬不使用で栽培されている。工場内の気温や気圧、湿度、照度、土壌温度のデータは、いつでもスマートフォンで確認できるよう「見える化」した。データの蓄積と分析を続け、結実後は工場内部の気温が25度以下にならないように自動管理されている。冬期間の暖房やディーゼル発電機の燃料には、化学を学ぶ生徒が精製したバイオマス燃料を主に使用。近隣の料亭や施設、一般家庭などから生徒らが回収した使用済みの天ぷら油に、メタノールとアルカリ触媒のカセイソーダを加えBDF(バイオディーゼル燃料)を作り出す。県内の企業から寄贈された木質ペレットストーブと併用している。工場建設に必要な資金を集めるため、昨年7月にクラウドファンディングを実施したところ、同校OBや地域の人々などから目標の150万円を大きく上回る252万円が集まった。各学科の生徒がそれぞれの得意分野で協力し合い、工場建設は土木や建築を学ぶ生徒、ボイラー設置や電気設備などは機械系学科と電気電子科の生徒、IoT技術での制御は情報技術科の生徒が担当した。摘果した未熟なマンゴーは県立山辺高等学校の食物科に持ち込み、「ロールケーキ」に加工するなど、他校と連携したレシピ開発が順調に進む。マンゴーを加工品にして、昨年姉妹校となった台湾の国立新竹高級工業職業学校に、今年持っていきたいという。

〈写真:「この取り組みを来年の生徒会につなげていきたい」と話す金光さん(手前)と生徒会で議長を務める小林愛深さん〉