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防風林「抑制ばかりのコロナ対策に漂う限界感【2021年8月1週号】」

 ▼1年遅れで開催された東京オリンピックをテレビ観戦で楽しんでいる。一流のアスリートたちが頂点を目指して競う姿は、やはり力強く美しい。本命と注目され、前評判通りの実力を示す人、まさかの敗退や大躍進など人間的なドラマにも感動する。コロナ禍でなければ、もっと楽しめるのにと残念だ。
 ▼政府は、感染対策で人流の抑制に躍起だ。しかし、無観客なのに開会式や試合会場周辺に集まる人たち、路上飲みなども目立つ。緊急事態宣言も度重なり長期化する中で人の行動は緩んでしまう。それが人間だ。だからといって、飲食店に酒類提供をやめさせようと、卸会社や金融機関に圧力をかけるのは権力の乱用でしかない。為政者側はしっかり自覚する必要がある。
 ▼徳川吉宗は、隅田川堤などに桜を植樹し、庶民に花見の習慣を定着させたと言われている。真の目的は洪水対策で、多くの人を堤に集めて踏み固めさせるためだったという。
 ▼真偽のほどはさておき、人は理屈だけで動かない。あれもだめ、これもだめの抑制ではなく、何らかの楽しみや喜びにつながるコロナ対策は考えられないものだろうか。