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防風林「危機管理は最悪のシナリオを前提に【2021年7月3週号】」

 ▼梅雨も明けない状況では気が早いと言われるか。しかし、7月に入ったら台風への備えも始めたい。過去30年間の平均値で、台風は年に25個発生し、12個弱が日本に接近、3個が上陸する。接近・上陸は7~10月に多い。「平成30年7月豪雨」では、6月28日~7月8日に梅雨前線と台風7号が西日本中心に大雨被害をもたらした。
 ▼台風による被害は温暖化が進むと激甚化する。環境省が3月に公表したリポート「勢力を増す台風」では、温暖化による環境変化を想定。「令和元年東日本台風」のデータを使い、同様の位置で発生し、同様の日程(10月11~14日)で台風が上陸した場合の影響をシミュレーションした。
 ▼結果は、気温が2度上昇すると風速は平均2.6メートル増、4度上昇では3.4メートル増と算定。降水量は、2度上昇すると平均6%増、4度上昇では22%増となった。東日本台風の風速は最大55メートル、降水量は千ミリに達した場所もある。温暖化で台風が発達する条件が整うことが要因だ。数%の変動でも影響は小さくない。
 ▼リポートは、最悪のシナリオを基にした危機管理を訴える。現実の大災害を見てそのとおりだと納得する。