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ホップのつるが高強度の繊維に【7月2週号 岩手県】

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 【岩手支局】一般社団法人遠野みらい創りカレッジ(樋口邦史代表理事)はこのほど、横浜国立大学の川村出准教授らとの共同研究で、廃棄されるホップのつるから「セルロースナノファイバー(CNF)」の分離に成功した。CNFは、自動車などの部材に使う植物由来の繊維素材。農業廃棄物を活用した農家の所得向上と、SDGs(持続可能な開発目標)達成が期待される。ホップのつるは5メートル以上に成長する。毬花の収穫を終えると、廃棄物として処分されることが多いという。元遠野みらい創りカレッジマネジャーで、現在は遠野市生涯学習スポーツ課の西村恒亮主任は「廃棄されるホップつるの利活用を模索していた。2020年8月に行った学生との討論で、CNFの原料に生かしてみようということになった」と振り返る。CNFは、植物の細胞壁にあるセルロースから作られる超極細繊維で、鉄と比べ軽量で強度が高い素材。植物から作る素材のため、成長する過程で二酸化炭素を吸収し酸素を放出することから、石油・石炭などの化石資源で作る素材に比べて、温室効果ガスの削減につながるという。

〈写真:「農家の所得が増えれば新規就農や定着へのハードルを下げることができる」と西村さん〉