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防風林「すしネタの代表格になった輸入サーモン【2021年6月3週号】」

 ▼サーモンは、すしネタで1、2位を争う人気だという。子どもの頃、すしは祝い事でもなければ食べられなかったが、サーモンを食べた記憶はない。すしネタに使われたのは、15、6年くらい前からだそうで、急速に人気ネタに上り詰めたと言える。
 ▼サーモンをすしネタに売り込んだのはノルウェーの輸出商社と聞いた。天然・国産志向が根強い中、養殖・輸入のサーモンは、最初はすし屋に行っても門前払いだったそう。安価でおいしいネタを探していた回転ずし屋に採用されたのを機に人気が出た。当時はサーモンがすしと言えるか議論もあった。今や高級すし屋でも定番のネタになりつつある。
 ▼驚くのは、国内で流通するサケと市場のすみ分けができていることだ。サーモン独特の色合いと味が定着したため、現在のところ、すしネタなどにサケが参入する余地がない。日ごろは食材は国産優先で購入するようにしているが、サーモンは代替できない。
 ▼考えてみると料理の世界は柔軟だ。すしは米国に渡って、アボカドやマヨネーズを使ったカリフォルニアロールになった。逆の例では、中華の麺料理が日本で独自に発展し、国民食の一つであるラーメンになった。政府は、農林水産物・食品の輸出促進で、日本食の普及にも取り組む。しかし、海外の料理にマッチする日本の食材があるかも知れぬと思った次第。