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防風林「コロナ禍で深刻化する子どもの貧困【2021年6月1週号】」

 ▼新型コロナウイルス感染症の問題長期化が、国内の貧困・格差問題に拍車をかけている。度重なる緊急事態宣言の発令などが、飲食や観光など非正規雇用の多い職種の離職などを招いているためだ。子どもの貧困問題を研究する東京都立大学の阿部彩教授によると、特にひとり親世帯の貧困が深刻だという。
 ▼調査では、コロナ禍に起因した離職や転職、労働時間の減少などをひとり親世帯の4割近くが経験。低所得や家計がひっ迫する世帯では、生活費は食費から切り詰める例も多く、野菜や肉、魚の摂取頻度が低下している。
 ▼格差社会の米国には、学校での朝食、昼食の提供、栄養補助プログラムなど多様な支援がある。一方、日本では所得に応じた給食費の支援などはあるものの、現状に対応しきれていないのが現実だ。
 ▼政治の空白を埋める活動として、食事を提供する子ども食堂が盛んになっている。2012年に東京都で第1号が登場し、10年弱で全国5千カ所に増えた。週に数回の活動が多いが、地域住民による社会活動の拠点にもなりつつあるそうだ。自ら求めたくはないが、困りごとが結束を強くする。