▼生産現場の課題解決にスマート農業の開発・実証と普及・実装化が推進されている。ロボットトラクターやドローン(小型無人機)が圃場を行き来する風景は、子どもの頃に読んだSF漫画が描く未来の姿そのものだ。圃場ごとの気象や土壌などのデータを作物の管理に生かし、良品を多収する技術の実現も間近に迫っているように思われる。
▼自宅からリモートでさまざまな農機を操作できる環境が当たり前になれば、農家は重労働から解放され、暑熱や寒風の中で作業をしなくてすむようになるだろう。圃場に侵入するイノシシやシカは、番犬型のロボットが追い払ってくれるのではないか。
▼一方で、そんな経営環境の実現にかかる費用が心配になる。米や野菜などの販売収入でまかなえればいいが、現状では困難だろう。ロボットトラクターは千万円単位で、資材や通信などに相当の費用がかかりそうだ。
▼ただ、弁当箱のようで高額だった携帯電話が小型化し、今や誰もがスマートフォンを持てる時代になった。よい方向に技術革新が進むことを期待していよう。