【栃木支局】栃木市岩舟町の阿部雅美さん(73)は、水稲「コシヒカリ」を1.5ヘクタール作付ける傍ら、不便を感じていた作業を改善する物作りに40年以上励む。今までに20種類以上の器具を作ったという。その一つ「側溝掃除スコップ」は、土水路をきれいにしたいと考えたのがきっかけ。土水路や側溝の泥は重く、取り除くのに時間がかかる上に、腰に負担がかかる。そこで、てこの原理を用いて、腰を曲げずにすくい上げられ、片手で持ち運べるスコップを開発した。材料はホームセンターで5千円ほどでそろえ、自分で製作した。溶接の際に少し隙間を作り、水や水田の生き物が流れ落ちるようにした。クランプ金具をナットで取り付けたことで、土水路の深さに応じて支点の場所を変えられる。スコップの部分を付け替えれば、除雪作業や稲わらの運搬にも活用が可能だ。
〈写真:側溝掃除スコップと阿部さん。製作した器具はすべて特許を取得している〉