▼津波や洪水、火山災害、土砂災害など多くの犠牲者を出した災害のあらましや教訓を伝える石碑などのモニュメントが各地にある。国土地理院は、地図・測量分野から災害教訓の伝承に貢献するとし、自然災害伝承碑の地図記号を制定し、同院の地図上で情報提供している。
▼今年3月に追加した分も含め、現在は47都道府県267市区町村の898基を掲載。地図でアルファベットの「T」と「U」を重ねて逆さにしたような記号をクリックすると、碑名と災害名、災害種別、建立年、所在地と伝承内容が画像とともに表れる。津波や高潮の碑が沿岸部に多いのは当然だが、洪水や地震、火山など内陸部も多い。
▼試しに故郷周辺を見ると、小学生のころに起きた土石流のほか、1945年3月の雪泥流の碑があった。20戸余りが流され88人が亡くなったという。知らなかった災害だ。建立年が古いほど、文字が不鮮明で欠損する例もあり、こうした情報公開は参考になる。先人が残した碑を探し、災害の教訓を胸に刻みたい。