▼毎年千人を超える熱中症の死亡者数ゼロを目指し、重症化を防ごうと、政府は4月から「熱中症予防強化キャンペーン」を始めた。9月まで展開する。昨年まで7月を強化月間としたが、改善しない状況を踏まえて大きく見直した。
▼4~6月は「暑熱順化やエアコンの早期点検の呼びかけ」をテーマに掲げる。暑熱順化は、適度な運動や入浴をして体を暑さに慣らすことだ。汗をかきやすい体にすると熱中症になりにくくなるという。個人差があり、4日から2週間程度の期間を要する。暑さから数日遠ざかると効果がなくなるそうで、取り組みの継続が大切だ。
▼ただ、自覚したいのは、年を重ねるほど汗をかきにくく、暑さへの反応も鈍くなることだ。昨年6~9月の熱中症による全国の救急搬送者のうち6割が65歳以上だ。東京では、屋内で死亡した高齢者の9割がエアコン不使用と報告された。暑くなる前にエアコンの動作を確認し、暑いときは迷わずエアコンで涼むことをお勧めする。
▼農業現場でもハウスや圃場での作業中に熱中症になる人は多い。今のうちに暑熱順化を始め、暑くなったら作業で無理をしない。命を守る行動を優先してほしい。