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防風林「食料安全保障をゆがめる投機的資金【2021年2月3週号】」

 ▼穀物の先物市場価格が高騰している。米国農務省の月例報告によると、小麦やトウモロコシなどのシカゴ相場が高騰した2012/13年の相場並みか近い水準にある。ただ、生産量が消費量を若干下回る予測ではあるが、期末在庫率は29.3%と、前回高騰時の21.1%を上回っている。
 ▼降雨などの影響で減産する国がある一方、小麦、トウモロコシとも生産量は過去最高となる見通し。大豆も前年度を上回るとの予測だ。相場上昇の要因は、急増する中国の飼料用需要に加え、投機的資金の流入が指摘されている。
 ▼株式市場も、日経平均株価が2万9千円台を回復してバブル崩壊後の高値を更新したという。コロナ禍の関連倒産が千件を超えるなど企業の経営環境は厳しい中で、米国の追加経済対策や日本の金融緩和政策への期待感が投資を促している。
 ▼国連食糧農業機関(FAO)など四つの国連機関は先ごろ、コロナ禍による昨年来の経済の動きがアジア・太平洋地域での栄養不良の拡大を招くと警告を発している。コロナ禍が食料価格の上昇と可処分所得の減少を招き、食料安全保障を脅かしているとした。投機が市場をゆがめないよう何らかの手だてはないものか。