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防風林「次の段階に進む1年に【2021年1月1週号】」

 ▼昨年1月1週号の本欄で、子年は十二支が一巡して始めに戻る年と紹介した。しかし、新型コロナウイルスの世界的流行により、スタートが切れないまま、経済・社会全体が停滞する1年となった。ワクチン接種にめどが立ち始めたとはいえ、収束までの道のりはまだ険しそうだ。
 ▼えとの2番目に位置する丑年は、子年にまいた種が芽を出して成長する時期との解釈がある。丑という字には「ひも」や「からむ」との意味があり、種子の中に芽が生じている状態を指す。後に動物の牛の意味が加えられ、緩慢な動きでも一歩ずつ前に進む牛の歩みを反映し、丑年には「我慢」や「発展の前触れ」との意味づけがされている。
 ▼牛と人類との歴史は古く、中東や欧州を中心に食肉や酪農目的で飼養されてきた。日本には稲作と同時期に伝わったと考えられている。食肉や酪農は広がらず、主に農耕や運搬に利用する使役牛として飼養された。耕運や運搬、堆肥利用など農業との縁は深く、大切な労力であり財産だった。
 ▼世界各国がコロナ禍に直面する今年は、あわてず急がず効果的な対策を積み重ね、経済・社会の再構築につなげていく我慢の年となりそうだ。相当に難しい課題であるのは確かだが、十全の感染防止対策を講じて1年延期した東京オリンピック・パラリンピックを成功させてほしい。一流のアスリートたちが競う姿は、見る人に勇気や希望を与える。後戻りしないよう着実に歩を進め、次の段階にたどり着きたい。