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防風林「食料不足への備えは国内農地の維持が大前提だ【2020年11月1週号】」

 ▼新米が出回り、ご飯がおいしい季節となった。ただ、今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で米の消費が例年以上に減少し、需給緩和による米価下落が懸念されている。また、東海以西の地域では、気象や害虫の影響で作柄が「不良」「やや不良」の府県が多い。稲作農家は、出来秋を素直に喜べない複雑な心情ではないか。
 ▼ご飯好きを自認するが、健康維持には体重増加を避ける必要があるので、消費拡大にはあまり貢献できない。若い世代の消費拡大を期待したいが、パンや麺など選択肢が多い中で無理強いも難しい。米飯給食を増やすなど消費拡大策を積み上げるしかないのだろうか。
 ▼最近、未来の食材として昆虫が話題だ。世界的には人口増加が続く見通しの中、不足するタンパク質の供給源の一つとして注目されているという。農林水産省も先ごろ、官民の協議会を設置し、昆虫食の開発・普及なども視野に入れた取り組み推進に乗り出している。
 ▼昆虫を食材とする国や地域の人々には申し訳ないが、"未来食"と言われても食欲は湧いてこない。粉にしてパンや麺にするのだろうか。将来の食料不足に備えるなら、水田の維持を基本とし、ご飯が食べ続けられる政策を講じてもらいたい。