▼気象庁の異常気象分析検討会は、「令和2年7月豪雨」など7月の記録的豪雨や日照不足の要因などを検証した。日本付近の偏西風の北上が遅れて梅雨前線が停滞し続け、太平洋高気圧が平年よりも南西に張り出した影響で、水蒸気が流入して日本付近に大量に集中。梅雨前線の活動が強化され、大雨の降りやすい状況が続いたとする。
▼東北地方と東日本太平洋側、西日本の7月の降水量は、平年比2~2.4倍となり、1946年の統計開始以降の記録を更新した。さらに東日本日本海側を加えた地域は、7月の日照時間が平年比4~5割程度で最少記録となっている。7月豪雨は、3日から31日までと長く、約1カ月にわたり広範な地域が多雨と寡照に見舞われた。
▼梅雨前線の活発な活動は、中国華中にも影響を及ぼし、7月の降水量は平年比で約5倍となった。報告は、今回の一連の大雨が長期的な大気中の水蒸気の増加という地球温暖化の進行に伴う影響である可能性も指摘した。理論上は、気温が1度上昇すると飽和水蒸気量は7%程度増加すると説明する。
▼地球温暖化の影響では、シーズンを迎える台風も、発生数は低下するものの最大風速が増す傾向との見通しがある。年々凶暴化する気象災害の危険を可能な限り回避するには、温暖化の流れを止めるしかない。