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防風林「女性農業者が輝きを増すために【2020年3月4週号】」

 ▼フィンランドのサンナ・マリン首相(34)は、世界で最年少の現職女性リーダーだ。ニューヨークの国連本部で開かれた「国際女性デー」のイベントで演説し、男女平等社会の実現には政治的決断が必要と訴えた。同国では、閣僚も男性7人に対して女性が12人と多く、平均年齢は47歳と若々しい。
 ▼農林水産省は、5月にまとめる2019年度「食料・農業・農村白書」の骨子案を明らかにした。その中で男女共同参画社会基本法の施行20年を機に「輝きを増す女性農業者」を特集する。女性農業者による起業活動が増え、女性が経営に関与する経営体は収益性が高まる傾向にあると高く評価する。
 ▼ただ、女性の認定農業者は、1999年の2千人から2019年に1万1千人と5倍に増えたものの、全体に占める女性の割合はわずか4.8%だ。農業法人に占める女性の役員比率は21.9%あるが、建設業や製造業など他産業と同じかやや高い程度に過ぎない。
 ▼以前から、農業・農村で女性の役割は重要と言われ、特に高度成長期以降は、企業などに就労する男性に代わって女性が農業と家庭を支えてきた。しかし、今は働き方改革が問われる時代だ。家事や育児、介護などの負担から解放するくらいの意識改革が求められる。
 ▼白書でも、「輝きを増す」と持ち上げるだけでなく、共同参画社会に向けた課題と具体策を明確に示すべき。政策面での働きかけも含めてだ。