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防風林「弱い立場の人を守る避難所の準備を【2020年3月2週号】」

 ▼東日本大震災が発生した2011年以降、避難指示や避難勧告、避難準備情報のいずれも発令していない自治体は、全国で9.5%にとどまるという。日本気象協会が推進する「トクする!防災」と「明治ほほえみ防災プロジェクト」が1788の地方自治体を対象に調査した。
 ▼回答した8割以上の自治体が指定避難所の開設を経験。最も多く指定避難所が開設された災害は、昨年10月の台風19号(令和元年東日本台風)で、一昨年の「平成30年7月豪雨」がそれに次ぐ。近年は、局地的な豪雨や台風の接近・上陸、地震など気象災害の激甚化が指摘されている。調査結果は、災害がどこでも起こりうることも裏付けた。
 ▼今回、乳幼児のいる親や妊産婦を想定した対応も調べている。災害時に乳幼児や妊産婦など要援護者を優先して受け入れる避難所設置を準備する自治体は約3割で、半数以上の自治体は「現在はなく、今後も指定する予定はない」と回答した。備蓄品の1位は紙おむつだが、購入する自治体は6割、そのまま使えて常温保存が可能な液体ミルクの備蓄は1割強とさらに少ない。
 ▼災害時に開設される避難所は、被災者や要援護者を守る重要な拠点だ。しかし、体育館など場の提供だけでは、着替えや授乳などもしにくく、避難所での生活を避ける人が増えている。災害で物流が遮断され、乳幼児のおむつやミルクの入手が困難になった例もある。拠点ごとの備蓄管理も大切だ。より弱い立場の避難者の不安を和らげ、物資も行き渡るよう万全の準備を求めたい。