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防風林「農業高校卒業生の就農 親の理解も大切【2020年3月1週号】」

 ▼子どもが通った農業高校に、PTAのOB会という組織があり、末席に名を連ねている。内装業を営むTさんが、子どもの卒業後も学校と関わりを持ちたいと活動を始めた。圃場を一部借りて、もち米や大豆の栽培、みそ造り、茶摘みなどを実施している。もち米は、2月にPTAと合同で開く餅つきに使う。
 ▼会員同士の交流だけでなく、年に数回、休日に実施される生徒の課外活動の際は、カレーや豚汁など昼食を提供している。Tさんは10年ほど前に病気で片側の手足が不自由になった。しかし、今も代表としてOB会をけん引しており、参加率が低い会員としては、熱意と行動力に頭が下がる。
 ▼農業科を設置する高校は、全国に約300校あり、約8万人の生徒が通う。農業の担い手不足が深刻化する中、卒業生の就農に期待が寄せられている。ただ、卒業生の大半は、専門学校進学や企業に就職する進路を選ぶ。法人経営も増え、農家の子弟以外でも就農は選択肢の一つになるはずだが、希望者は少ないようだ。
 ▼5年ごとに見直す食料・農業・農村基本計画の策定に向けた議論が大詰めとなっている。自民党の農林関係合同会議では、農業高校生の就農促進を求める意見が多い。最先端の技術を身につけるため、老朽化する農業高校の機械・設備を農林水産省の予算で更新できないのかと訴える議員もいる。
 ▼生徒と合わせ、農家以外が多いPTAに働きかけはできないか。就職先と認めれば背中を押してくれるだろう。