ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

防風林「令和時代に求められる農業技術開発は【2019年10月4週号】」

 ▼「平成の食と農の課題に農業技術はどう応えたのか」をテーマとした『平成農業技術史』(大日本農会編)が農文協から発刊された。大日本農会が進めた「平成農業技術史研究会」の議論を踏まえ、研究会の委員や専門家が執筆した。
 ▼食料増産や機械化が主要課題だった戦後の昭和時代に比べ、平成時代は食生活の変化と消費ニーズの多様化が進み、農業技術開発への要求も多様化したという。水田作では、ポストコシヒカリを掲げた水稲の品種や水田フル活用に向けた麦、大豆などの品種や安定生産技術の開発、果樹は、消費ニーズに応じた高品質果実品種や安定生産技術の開発が目次に並ぶ。
 ▼平成の前半は、試験研究の成果などを取材した期間とほぼ重なるので、内容によっては研究者の顔が浮かぶ。新品種の開発は10年以上かかる例もあり、成果を説明する研究者の多くが自信に満ちていた。ただ、米の「コシヒカリ」、リンゴの「ふじ」を超える品種は登場に至らず、残念に思う。
 ▼令和時代の農業技術開発では、情報技術の活用などスマート農業に関心が集まる。加えて、地球温暖化への対応や気象災害の復旧技術開発に期待したい。平均気温は上昇を続け、大雨や台風などの災害も年々激甚化している。営農意欲を支える安定生産技術の確立が求められる。