▼最近目にする機会が多い言葉「SDGs(エスディージーズ)」は、「持続可能な開発目標」と訳される。2015年の国連サミットで全会一致で採択された。貧困や飢餓の撲滅など17の国際目標を30年までに達成し、"誰一人取り残さない"持続可能な社会の実現を目指すものだ。より具体的な169のターゲット、232の指標も決められている。
▼日本政府も16年に全閣僚で構成する推進本部(本部長・安倍首相)を設置し、体制を整えている。国内で推進するための実施指針を策定し、有識者や関係団体などを集めた円卓会議も設置した。「自分とは無関係」「難しそう」と感じるかもしれないが、農林水産や食の分野でも農山漁村の活性化、持続可能な農林水産業の推進、食品廃棄物の削減など関わる事項は多い。
▼飢餓や貧困の撲滅に役立つなら、積極的にかかわることも考えてみたい。「風が吹けば~」ではないが、うまく展開すれば、作物の増産は飢餓撲滅への一歩であり、堆肥など有機物活用は資源循環や環境保全に貢献できる。ただ、SDGsは、取り組みが社会的、経済的に成り立つ点も重視する。長く持続させるのはそれほど簡単ではない。
▼8月末から次年度予算の編成が本格化する。各省庁が打ち出すSDGs関連の施策などに注目したい。SDGsを広げ、根付かせるには、初動を後押しする施策は欠かせない。