▼子どもたちが夏休みに入る時期を迎えた。昨今は子どもに農作業を手伝わせる農家が減っていると聞く。ただ、毎日ゲームに熱中するよりは、労働を体験した方が絵日記など宿題のネタにもなるだろう。
▼小学生の頃、夏の早朝に何度か起こされ、水稲防除の手伝いをさせられた。父母が背負式動噴と長いホースを操作し、自分は補充用に粉剤を持って父の後を歩く。補充するたびに水田脇の箱まで薬剤の袋を取りに走った。面積は50アールほどで時間も30分くらいだが、長袖長ズボンで汗をかき、服は粉まみれになる。作業後に水風呂に入ってさっぱりした。
▼本業となる果樹栽培では、授粉や摘果、袋かけ、収穫など農繁期の休日は園地に連れ出された。単純作業が多く体力的にきついので、高校生になると何らかの理由を付けて園地には行かなくなり、友人との遊びに力を注ぐようになる。いま振り返れば、労働力の必要な農繁期に、もう少し手伝えばよかったかと反省する。
▼自分が子育てする立場になり、家族で作業する経験は貴重だったと思うようになった。一緒に働くからこそ作業内容やきつさ、楽しさが実感できるからだ。勤めに出る親では、働く姿を子どもが目にする機会もない。
▼今後、梅雨明けとともに一気に暑くなる可能性もある。子どもに農作業の手伝いをさせる場合は、適度な休憩と水分の摂取を心がけ、熱中症や事故のないよう注意してほしい。