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防風林「肥料制度見直しを機に堆肥の活用促進を【2019年7月2週号】」

 ▼肥料制度の見直しは、先ごろ政府が閣議決定した骨太の方針に盛り込まれた農政課題の一つだ。肥料の安全性確保と良質で低廉な肥料を供給する観点から、肥料取締法の改正を視野に公定規格や登録・届け出手続きの簡素化、表示見直しなどを検討している。
 ▼肥料制度見直しを題材にしたシンポジウムを取材した際、肥料関係団体から、もう一つ要望が出された。肥料取締法の名称変更だ。取締法であるため厳格な管理や規制となり、メーカーの負担が大きいと訴えるほか、安全性に問題のない肥料が危険物のような印象を持たれていると指摘する。
 ▼現行の肥料取締法は、1950年に制定された。戦後は、原料や品質のごまかしが横行したため、有害物質の使用を禁止し、悪徳業者を排除する必要があった。肥料の安全性確保は当然だが、規制緩和を基本として肥料制度を見直すなら、上から目線による「取り締まる」意識の排除も大切だ。
 ▼シンポジウムでは、水田の堆肥施用量が30年間に4分の1に減ったとの報告もあった。堆肥を利用する土づくりは、環境負荷も少なく土壌物理性の改善にも有効だ。しかし、労力不足の深刻化とともに余力が失われて、今後の地力低下も懸念されている。メーカーも扱いやすい粒状化などを研究するが、流通も含むコスト低減が課題となっている。
 ▼肥料制度見直しを機に、堆肥など資源活用を推進できないか。方策はあるはずだ。