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防風林「地域への定住目指す若者たち【2019年7月1週号】」

 ▼地域住民と仲良くなるこつは、夕食時の訪問だという。地域おこし協力隊として離島で活動し、移住した女性の経験談だ。聞き取り調査を口実に訪ねると、誰もが「食べていくか」と誘ってくれるそうだ。
 ▼その調査で地域の全世帯を回り、自給農産物や自然の恵みをいただく豊かな生活の価値を肌で感じた。地域住民には当たり前だが、島の暮らしが人を呼び込む資源になると着目。定住で収入を得る方法として体験ツアーや地域おこし塾などを企画する法人を設立した。
 ▼活動を続ける中で、2人の移住者を呼び入れた。本人も地元の男性と結ばれ、地域では21年ぶりの子宝を授かっている。協力隊の活動は、地域を知り、定住後の仕事を考える上で貴重な時間だと強調する。
 ▼地域おこし協力隊は、都市圏から過疎地など地方への人の流れをつくろうと、総務省が推進する。地域に1~3年間定住し、地域振興の支援活動などを実践すると、自治体を通じて報酬を含む経費が交付される。隊員数は年々増加して、2018年度は5359人が1061の自治体で活動する。
 ▼任期終了者の調査では、約6割の隊員が同じ地域に定住する。定住者の5割は就業、3割が起業、1割強が就農だ。分野も観光や地域振興、飲食店やパン屋、鮮魚など多彩。ウェブデザインなど今どきの仕事もある。
 ▼地方では仕事がないからと都市部に転出する若者も多い。なければ創ればいいと元気な人たちがそこにいる。